空白の玉座



アメリア王妃の身辺以外であまり見かけない男の姿を見つけて、並んで歩いていた女官の2人は声を揃えてその名を呼んだ。

「ジェーイスっ」

振り返って笑う彼に思わず頬の温度が上がる。

「どこ行くの?」

「国王陛下のご容態を見にね。すごい荷物だな、持とうか?」

ジェイスは二人が両手いっぱいに抱えた寝具やら、小物を見て言った。

「どこに運ぶ?」

「国王陛下の新しいご側室様のお部屋よ」

「ご容態を崩したとか言うけど、こうしてご側室様を迎えるんだから、元気なもんよねぇ」

声を潜めながら呟く女官にジェイスは眉を下げた。

国王付きの女官でなければ国王の様子はわからない。




< 58 / 71 >

この作品をシェア

pagetop