空白の玉座
アメリア王妃の身辺以外であまり見かけない男の姿を見つけて、並んで歩いていた女官の2人は声を揃えてその名を呼んだ。
「ジェーイスっ」
振り返って笑う彼に思わず頬の温度が上がる。
「どこ行くの?」
「国王陛下のご容態を見にね。すごい荷物だな、持とうか?」
ジェイスは二人が両手いっぱいに抱えた寝具やら、小物を見て言った。
「どこに運ぶ?」
「国王陛下の新しいご側室様のお部屋よ」
「ご容態を崩したとか言うけど、こうしてご側室様を迎えるんだから、元気なもんよねぇ」
声を潜めながら呟く女官にジェイスは眉を下げた。
国王付きの女官でなければ国王の様子はわからない。