空白の玉座
「ご側室を迎えるのは初耳だな、どこのご令嬢?」
「ランスロット伯爵のお嬢様だと聞いたわ」
女官の言葉にジェイスは首を傾げた。
「…あの家に未婚の女性はいないはずだけど」
ランスロット家はアメリアを気にいっているガイの家だ。
姉が2人いたが、すでに嫁いでいる。
何かと理由をつけては家に招かれるのでよく覚えていた。
「そうなの?でも確かに女官長からはそう聞いたわよね?」
頷きあう女官に、ジェイスは足を止めた。
「ごめん、行くところを思い出したから」
言って、持っていた荷物を2人に返すと踵を返した。