来栖恭太郎は満月に嗤う
クレオの差し出すティーカップを受け取り、静かに口に運ぶ。

「今朝の朝食はボイルドポーク、トースト、ベーコンエッグ、紅茶となっております。コールドミートは如何致しましょう?」

「バターだ」

「かしこまりました」

俺の朝食のリクエストにゆっくりと頷くクレオ。

その少し後方には。

「……」

無言のまま立つ、美少女メイドがいた。

長く美しい金髪を後ろにまとめた、エプロンドレス姿の少女。

紛れもなくリルチェッタだ。

「リルチェッタ、屋敷の主人に対して挨拶がないな?」

紅茶を飲み干し、俺は薄く笑みを浮かべる。

「…っ…」

歯噛みし、僅かに視線を下げるリルチェッタ。

しかし、俺が手にしたティーカップを振りかぶると。

「お、おはようございますっ、ご、ご主人様っ…」

脅えたようにリルチェッタは挨拶の言葉を口にした。

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