来栖恭太郎は満月に嗤う
俺は内心嘲笑しながらも、努めて表情に浮かべないようにベッドを降りる。

すぐにクレオが、俺の肩にガウンをかけた。

「リルチェッタ、お前は雇われの身という自覚が足りないようだな。まぁ昨日の今日だ。それも致し方ないと言えるがな」

彼女の目前に歩み寄る。

威圧感か、嫌悪感か、後ずさろうとするリルチェッタ。

だが。

「主人を避けようとするとは何事だ?」

言葉の鎖が、彼女をその場に縛りつける。

避けようにも避けられない。

後ずさろうにも後ずされない。

そんなリルチェッタに近づいた俺は、彼女の顎を指先でクイッと上向かせた。

「これから追々、お前の『躾』をしてやる。自発的に挨拶を交わし、言われずとも俺の好みを察して行動できる、自他共に認める俺の『飼い狗』となるようにな」

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