来栖恭太郎は満月に嗤う
『飼い狗』

その言葉で、リルチェッタの美しい瞳にカッと炎が燃え上がった。

両親の仇に狗呼ばわりされる屈辱。

できる事ならば、今ここで俺の喉笛をかっ裂いてやりたい。

それ程の激情に駆られた事だろう。

しかし、耐える。

身を小刻みに震わせ、唇を噛み、耐える。

ここで感情的に動いては復讐は果たされない。

俺が致命的な隙を見せるまでは、俺に完全に取り入るまでは、行動に移ってはならない。

そう考えているのだろう。

「ん?どうしたリルチェッタ」

「いえ…」

必死に激情を堪え、リルチェッタが冷静さを取り戻す。

健気、そして嗜虐心を煽り立てる。

下卑た感情を感じさせずにはいられなかった。

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