来栖恭太郎は満月に嗤う
そうと決まれば。
俺が指を鳴らすと、部屋の外に待機していた人物がすぐに入室して来た。
「…ひっ…!」
その人物を見るや否や、リルチェッタが鋭く息を飲む。
小さな立ち襟の白いワイシャツ、黒のベスト、ネクタイ、黒のパンツ。
出で立ちこそ、いわゆる執事(バトラー)。
だがその男には、決定的に普通の執事とは違うものがあった。
肌が露出している部分…顔や両手を、包帯で覆い包んでいるのだ。
指先まで、そして目や口以外の部分まで。
髪の毛のみが、巻いた包帯の隙間から僅かにはみ出している程度。
上等な仕立ての執事の服装とのアンバランスさが、その男の異様さを引き立てていた。
「御呼びでしょうか、ご主人様」
「クレオ、その娘にエプロンドレスをくれてやれ。今日から我が屋敷でメイドとして働くリルチェッタだ」
執事・クレオに脅えの色を見せるリルチェッタに興味すら示さず、俺は冷たく言い放った。
俺が指を鳴らすと、部屋の外に待機していた人物がすぐに入室して来た。
「…ひっ…!」
その人物を見るや否や、リルチェッタが鋭く息を飲む。
小さな立ち襟の白いワイシャツ、黒のベスト、ネクタイ、黒のパンツ。
出で立ちこそ、いわゆる執事(バトラー)。
だがその男には、決定的に普通の執事とは違うものがあった。
肌が露出している部分…顔や両手を、包帯で覆い包んでいるのだ。
指先まで、そして目や口以外の部分まで。
髪の毛のみが、巻いた包帯の隙間から僅かにはみ出している程度。
上等な仕立ての執事の服装とのアンバランスさが、その男の異様さを引き立てていた。
「御呼びでしょうか、ご主人様」
「クレオ、その娘にエプロンドレスをくれてやれ。今日から我が屋敷でメイドとして働くリルチェッタだ」
執事・クレオに脅えの色を見せるリルチェッタに興味すら示さず、俺は冷たく言い放った。