恋人はトップアイドル
そう話した時の堂本さんの表情はすごく優しくて、まるで父親のようだった。


覚悟か---------。


正直、まだこの業界を垣間見て間もないし、輝と付き合ってから二日しか経ってない。

だから、堂本さんの言っていたことは、よくわからないけど・・・。


でも何となく、覚悟というものが、何を意味するのかは、わかった気がした。



長い廊下を抜けて、輝の楽屋へ向かう。

もう少し、という所で、輝の楽屋のドアが開いているのが目に入った。

すると、そこから一人の女性が出てくる。


わ・・・、すごい綺麗なひと・・・!!


長い髪は艶やかに纏まっていて、しなやかな身体、身体の線を現すワンピースからスラッとした足が出ていて、スタイルの良さがわかった。


誰・・・??


輝の楽屋にまで入ってこれるってことは、相当仲がいいのかもしれない。

訳も分からず、胸がモヤモヤとした。

近くまで寄っていく。
女性は、こっちに気づかない。

楽しげな雰囲気は、女性の横顔から伝わってきた。


「特に、あの曲。なんだっけ、帽子被ってダンスしてた・・」

「帽子被って、って、大まかすぎんだろ。」

「あー思い出せないっ!」

「お前ちゃんと曲聴いてんのかよ?アルバムやっただろこの間。」

「聴いてるわよ。でも忙しくてタイトルとかまで把握してないの!」


二人の話し声が聞こえる。

輝の声が、柔らかい。この女性(ひと)には、気を許してる証拠。

ズキッと、胸が痛んだ。


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