恋人はトップアイドル
「輝・・、ユキさんと、仲良いの?」

「いや、あいつが勝手に俺に寄ってくるだけ。うざいったらねえよ。・・心配したか?」

輝の手が、あたしの頬を包む。
それだけで、あたしはもうおかしくなりそうになる。

暗闇に目が慣れてきて、輝の顔がわかった。

「・・してないよ。」

「嘘つくな。」

輝の間髪入れない返事に、あたしは押し黙った。

唇をかんで、下を向く。

「ユキさん、綺麗だね。」

「・・そりゃあ女優だしな。」

「あたしにも分け隔てなくて、いい人だし。」

「うるさいだけだろ。」

「・・輝も、ユキさんとは、普通に喋るんだね。」

女嫌いなのに。

「腐れ縁なだけだよ。」

「・・・少し、だけ・・、ヤキモキ妬いた。」

「・・・・。」

輝の服をギュッと掴んだ。

面倒くさいって、思われるかもしれない。
でも、正直な気持ちだった。

すると、輝の手があたしの顎を上に向ける。

「俺が、一緒にいて楽しいと思うのも、側にいたいと思うのも、抱きしめるのも、キスすんのも、お前だけだ。・・最初から、ヤキモキ妬いたって、言えよな。」

輝が、笑った。

そう思った次の瞬間、あたしの視界は、輝で覆われていた。


腰に回った輝の腕が、あたしの背中をなぞる。

二人の息が、室内に漏れた。

「・・っはぁ・・。」

「足りねえ。」

「っんんっ!・・」

離れても、離れても、唇は触れ合って、輝の瞳が、あたしの熱に浮された瞳を見ていて、

ぼーっとする頭の中で、それを恥ずかしいと思った。


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