恋人はトップアイドル
輝の膝に乗せられて、いつの間にかあたしは横抱きにされていた。

今日の輝は、なぜか甘い。

あたしはさっきから、輝のキスを受け続けていた。


「・・・っ・・はぁ。」

「・・エロい顔だな。」

「あ、きら・・、帰らなきゃ・・。」

「ああ?帰りたいのかよ?」

輝の眉間にシワが寄る。

「そうじゃないけど・・。明日、仕事あるんでしょ?」

「午後からだし、平気だ。3日会えねえんだぜ?もっと寂しがれよ。」

・・・ってことは。

「輝、寂しいの?」

そう聞くと、輝は黙ってしまった。

え?そうなの?

思わず、自惚れそうになる。


「輝?」

そっぽを向いた輝の頬を、指で突っついてみた。

反応はない。

もう・・・。

「あたしだって、寂しいよ。でもあたしのせいで、輝の仕事に支障が出るのは嫌なの。」

「・・お前、どこまで出来た女なんだよ。」

輝が呆れたようにそう言った。

・・・違うよ、輝。

「あたしだって、輝のファンだからだよ。」

輝が、静かにこっちを向いた。

「最高のコンディションで、輝に仕事してほしいの。その妨げには、なりたくない。」

「・・アホか。」

輝が、あたしの頭を自分の胸に寄せた。

「前の俺はどうか知らねえけど、今は、お前とこうする時間がなきゃ、俺は最高のコンディションにはなれねえよ。」

胸が、震える。

こんな喜び、初めてだ。

「・・・嬉しい。」

素直に、口からその言葉が出た。

「なら、もっと会いたいって言えよ。もっとワガママ言え。お前のためなら、叶えてやるから。」

「・・・輝、ありがとう。」

「・・こういう時は、好きって言うんだよ。」

輝はそう言って、またあたしに深いキスをした。


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