恋人はトップアイドル
「本当に、帰したくねえな・・・。」

唇が離れた後、抱きしめられて耳元で、輝は熱くそう囁いた。

その言葉に、言いようのない喜びを覚えた。

身体の芯から熱くなる。
このままずっとくっついていたい・・。

室内が暗いせいか、まだ慣れないキスも抱擁も、なぜか今日は恥ずかしくなくて、むしろ安心できるくらいだった。

だって、伝わってくるの。

輝の腕の強さとか、輝の体温とか、言葉とか、唇とかから、輝の確かな想いが。

それが、あたしを安心させる。

あたしからも、伝わればいいと思って、ギューッと輝に抱き着いた。

その時、輝が着ていたジャケットのポケットが振動を伝えた。
輝は軽く舌打ちをして、そこから携帯を取り出した。

携帯の照明が、自棄に目にくる。画面が少し見えた。堂本さんからだ。

「ああ、悪い。今、一緒にいる。・・わかってるよ、もう連れてくから。ああ、すぐ行く。」

忌ま忌ましげな表情で、輝は通話終了ボタンを押した。
ポケットに携帯をしまうと、輝はあたしの両脇の下に両手を挟んで、あたしを立たせた。

「もう、行かねえと。」

「堂本さん、まだいるの?」

「ああ、この間みたいなことも考えて、堂本にお前を送ってもらうように頼んでたんだ。」

「え!?じゃあ堂本さんずっと待ってくれてたの!?」

ど、どうしよう・・!

だってもう相当時間経ってるよ!

申し訳なさが、あたしの心を締め付けた。

「ああ、まぁな。でも堂本もこんくらい待つってわかってたと思うぜ。」

輝は気にする風もなく、そう言い切った。

「なんで?」

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