恋人はトップアイドル
「や、全く。」

予想した通りの答えに、あたしは苦笑した。

『そして今日、春休み中に頑張った皆の成果を発揮してもらうため、学力テストを行う。』

はあ!!?
えー??
なにそれっ!

校長の唐突な知らせに、2年生から不満げな声が上がる。ちなみに1年生は入学式があるため始業式には出席しないから、抜き打ちテストはしない。
このことを知っているのは、あたしたち3年生だけだ。

『春休み、自分なりに勉学に励んだ者であれば、何てことはないテストだ。皆、都内有数の進学校の生徒であるという自覚と誇りを持って、テストに望むように。私からの挨拶は、以上だ。』

「どんな終わり方だよ。」

健人がまたもツッコむ。
確かに。と頷いた。

「てゆうか自覚と誇りって、イコール、いい点とれよってプレッシャーよね。」

「あー、かわいそうだな。学年最下位組は特にな。」

健人がしみじみといった。

そう、この抜き打ちテストは、学校の定期テストとは違って、どれだけ勉強ができる・できないかが如実に現れる。
つまり、上位と下位ではっきり分かれてしまうのだ。その差は実に100点を越える。

だから下位に入ってしまった者は、進学校生であるプライドをへし折られるどころか、成績順はすべて名前有りで学校全体に発表されるため、上位者の名前はもちろん、下位者の名前も覚えられてしまう。
それはとても恥ずかしく、不名誉なことなのだ。

しかしこのテストで生徒たちに、進学校生である自覚を持たせる他、大学受験への初歩を踏ませることは、とても大切なことでもある。



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