恋人はトップアイドル
それに、生徒会長が学年1位をキープする、ということは、イコール生徒への威厳と、進学校の誇りを保つことでもある。

あたしは、何が何でも1位でいなければならない。

冷静になれば、途端に青ざめてきた。

あたしいつから、勉強してないっけ・・・??


抜き打ちテストが難しいことは、去年で経験済みだ。だけどなんとか1位だった。それでも全教科85点以下だった。

つまりそれくらい、レベルが高いんだ。
3年は今年は何かしら準備をしてきているはずだし、あたしと違って受験組は、春休み全てを受験勉強に捧げているはず。


考えれば考えるほど、あたしの春休み中の行いは暴挙に近かった。

「どうしよ・・・。」

「英語は構文と単語。国語は孔子1文読んどけ。歴史は戦国。ザッと流せよ。」

パッと顔を上げると、健人は面倒くさそうに髪をかきあげた。

「できることするしかねーだろ。無難なトコ詰め込めばなんとかなる。」

なんとかなる。

親友のその言葉は、あたしにとっては力強い一言だった。

「・・そうね、ありがと。」

不安がってても仕方ない。

だけど、いつまでも幸せぼけしてられない。
あたしはあたしの立場を、守らなくちゃいけない。

輝とは、当分連絡取れないでよかったかも・・。


バイトと学校の両立。

すなわち、トップアイドルとの恋愛とトップレベルの学問の両立。


それはそんなに、簡単じゃない。


新学期幕開け早々に、あたしは過去を遥かに凌ぐ衝撃で、それを思い知らされることになる。



< 170 / 254 >

この作品をシェア

pagetop