恋人はトップアイドル
優美の家の前に着くと、リビングにぽつんと明かりがついていた。
門から入り、玄関の前に立つ。少し緊張しながら、インターホンを押した。

ピンポーン・・・

小さなその音が、やけに大きく響いた気がした。
何十秒か間があって、

「どちら様、ですか・・?」

不安げな優美の声が、インターホンから聞こえた。

「俺だ。」

「・・・輝・・・。ごめん、今日は帰って?」

少し驚いたような声の後で、優美はそう続けた。
初めて、俺を拒んだ────。

「なんで。」

でも食い下がって溜まるか。

「なんで、って・・。」

優美が戸惑ってるのがわかる。

「なあ優美、今日、なんかあったんだろ?最後・・、校長から呼び出されてたよな?あのあとメールがあった。一体なにがあったんだよ?」

「・・あたしの、問題だから。」

───なんだよ・・、それ。

優美の煮え切らない言葉に、イラッとした。


「かっこつけんなよ!」

思わず叫ぶ。

なんでだろう。
今会わなきゃ、ダメな気がした。
鈴木の言葉が、頭から離れない。
得体の知れない不安が、俺を焦らせていた。

「・・・俺は。俺は、お前が苦しんでんなら、助けたい。一緒にいてえんだよ。・・何のための彼氏だよ?もっと頼れよっ。」

優美の声も、動きも、表情も、何もわからない。

頼むよ。

「開けてくれ。顔・・見せてくれよ。」


そのときだった。

ガチャ・・。という、小さな音がして───。


「あ、きら・・・。」

少しだけ開いたドアの向こうに、優美の顔が見えた。
不安げに揺らめく瞳に、青ざめた肌、それを見た瞬間、なにかが吹っ飛んだ。


「きゃ・・っ。」


俺はドアを強引に開いて、優美の身体を抱きしめると、玄関に押し入った。

ぎゅうう、と力の限りに抱きしめる。
温かい身体が、自分の腕の中にあることに、ひどく安心した。

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