迷宮の魂

 家までの砂利道に来ると、遥の部屋ではなく、ママが自分の部屋へ運んで頂戴と言って来た。

 ママが自分の家の玄関を開け、手前の客間に遥を運び込んだ。念の為、医者を呼ぶ事にした。

 運び込まれた遥は、意識が多少は戻って来たのか、しきりと苦しそうな呻き声を上げていた。

 その様子を見ていたママは、心配しているというよりも、どちらかと言えば迷惑そうな眼差しを向けていた。

 ママは、傍に居た直也にそっと耳打ちでもするかのように話し掛けた。

 ひそひそと交わす話を聞き漏らすまいと、美幸はじっと耳をそばだてた。

 断片的に言葉が届いて来る。

 頷く直也。

 困惑した顔。

 美幸がはっきりと聞き取れた言葉は、

 そうですね

 仕方無いですね

 の二つだけだった。

 その翌日、遥はエリーを辞め、島を出て行った。

 形の上では自ら辞めた事になっていたが、実際は辞めてくれとママに言われたのであろう。

 正直なところ、だからと言って遥が気の毒だとは思えなかった。寧ろ、追い出されても当然だと思ったし、これで邪魔者が居なくなってせいせいしたとさえ思っていた。



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