[短編]アスタラビスタ
「涼になにがあったんですか?!」


「バイトの帰りに、信号無視した大型トラックにハネられたそうだ。今は緊急手術の最中だ」


「大丈夫なんですか?」


「いや、まだわからない」



私達は挨拶もそこそこに、事故の状況や涼の状態を、あーでもないこーでもないと話し続けた。



「警察によると、自転車はぐしゃぐしゃに潰れていたそうだ…」


「なんで涼がこんな目に…」


「助かるの?」


「トラックはどのくらいのスピードが出ていたのだろう」



いくら話しても堂々巡りだと言うことはみんなわかっていた。


だけど、黙って待っていることは辛かった。

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