雪がとけたら




「ふ…」









…ポタ、ポタッと、携帯の文字が雫石で歪んだ。


喉の奥から溢れる熱いものを、あたしは止められない。


それでも必死に涙を拭い、最後の一文を目に焼き付ける。








…最後の一文。
















『俺の気持ち、全部置いてくよ。』















「…雪ちゃん…っ」



携帯を抱き締めるあたしを、西君は優しく撫でてくれた。



次から次へと涙は溢れて止まらない。









…雪ちゃんがいなくなって、あたしは初めて泣いた。













ごめんね、雪ちゃん。



泣いてあげられなくてごめん。




雪ちゃんの気持ちと向き合えなくて、ごめんね。









「…泣く…泣くよ、雪ちゃん。あたし…」










…雪ちゃんのために泣くよ。




身体中の水分がなくなるまで、




声が枯れて出せなくなるまで、









あなたを想って、泣き続ける。








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