舞姫〜MaiHime〜
2,舞焦-Maisyo-
あたしは今、サラサラと風が吹く屋上で、ただただ戸惑い、冷静を失っていた。
──それはつい、5分ほど前。
あたしが屋上につくと、空輝はもう既に屋上にいた。
風に髪をなびかせる姿が格好良くて、つい見とれていた。
『…紅。』
そう呼ばれ、我に帰るあたし。
『何?』
あたしはこの時、これから言われる言葉なんて予想も想像も妄想も出来なかった。
『お前って舞姫なのか?』
『……え。』
まさかこんなにも早くバレるとは思わなかった。
『何言ってんの。俺男だし。』
『見たんだよ。お前が赤い特攻服を着てバイクに乗る姿。…それに、そのリング総長リングだろ』
空輝はあたしの指で輝くリングを指差して言った。