舞姫〜MaiHime〜

もしも,翔がまだ生きていたら。
あの学校に行く事もなかっただろうし,皆に出会う事もなかった。

そしたら…。
あたしは迷わず自分の身を犠牲にしていたんだと思う。

恐怖なんかきっとなかったんだと思う。

だけど,皆に出会って。

少しずつ変わっていった。

それがはたして良いのか悪いのか分からないけれど。


『紅。』
どうして,あたしを呼ぶ声が皆じゃないんだろう。


ドンッ

どうして,あたしの上に乗るのが彼じゃないのだろう。


『いいか。仲間を守りたいなら俺に従え。』
『……。』
『俺の命令は絶対だ。』


自由がないとはこの事なのだろうか。

あたしはこいつの忠実な玩具。

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