怖い男達
はっと気付くと同時に、女房の幼馴染は薄笑いを浮かべ、女房を子供達の肩に手を置いた。
「ほら、君達は葬儀会場に戻って。後は俺がついてるから大丈夫」
「ごめんなさいね。主人が階段を踏み外して落ちたところを助けてもらった上に、付き添いまで」
女房の言葉に俺は疑問を抱いた。実際、俺は足を踏み外して階段から落ちたわけじゃない。女房の幼馴染……この男に落とされたんだ。
俺はすぐさまそれを口にし、女房に云い付けた。
「俺はこいつに階段から突き落とされたんだよ! 病室で二人きりになるなんて冗談じゃね~!」
女房はそんな俺を冷たく一瞥すると、幼馴染に黙って視線を向けた。
「落ちた時の記憶が曖昧で、記憶が混乱しているんだろうね。幸い怪我は両足の骨折で済んだようだし、ここに君達がいなくても大丈夫だよ。だから葬儀会場へ戻って。ここは俺に任せてさ」
「そうね、ごめんなさい。じゃ、お言葉に甘えて私達は葬儀会場に戻らせて貰うわね」
女房は素直にそう答えると、子供達の手を引き、俺に背を向けた。
「おいっ! 待てよ。こんな男の話を信じて、旦那である俺の話は無視かよ! おいっ!」
半ば叫びながらそう呼び止めたけれど、女房を子供達は、まるで俺の声が聞こえないように、振り返ることなく病室を出て行った。
俺は愕然としながらも、また奇妙な視線を感じて、女房の幼馴染を見ると、にやにやと薄笑いを浮かべ、俺にこう云った。
「残念だよ。死ななかったんだね」と……。
そこで俺は恐怖のあまり、失神したことは云うまでもない。
「ほら、君達は葬儀会場に戻って。後は俺がついてるから大丈夫」
「ごめんなさいね。主人が階段を踏み外して落ちたところを助けてもらった上に、付き添いまで」
女房の言葉に俺は疑問を抱いた。実際、俺は足を踏み外して階段から落ちたわけじゃない。女房の幼馴染……この男に落とされたんだ。
俺はすぐさまそれを口にし、女房に云い付けた。
「俺はこいつに階段から突き落とされたんだよ! 病室で二人きりになるなんて冗談じゃね~!」
女房はそんな俺を冷たく一瞥すると、幼馴染に黙って視線を向けた。
「落ちた時の記憶が曖昧で、記憶が混乱しているんだろうね。幸い怪我は両足の骨折で済んだようだし、ここに君達がいなくても大丈夫だよ。だから葬儀会場へ戻って。ここは俺に任せてさ」
「そうね、ごめんなさい。じゃ、お言葉に甘えて私達は葬儀会場に戻らせて貰うわね」
女房は素直にそう答えると、子供達の手を引き、俺に背を向けた。
「おいっ! 待てよ。こんな男の話を信じて、旦那である俺の話は無視かよ! おいっ!」
半ば叫びながらそう呼び止めたけれど、女房を子供達は、まるで俺の声が聞こえないように、振り返ることなく病室を出て行った。
俺は愕然としながらも、また奇妙な視線を感じて、女房の幼馴染を見ると、にやにやと薄笑いを浮かべ、俺にこう云った。
「残念だよ。死ななかったんだね」と……。
そこで俺は恐怖のあまり、失神したことは云うまでもない。

