片思い?両思い?


「今、隆平に聞いたんだけど」

「うん」

何か・・・理沙の顔が・・・険しくなってる?

「日向先輩・・・振られたんだって」

「ええ!?」

「それで、少し落ち込みながら・・・町を見渡せる場所に行くって・・・隆平に言い残して帰ったみたい」

理沙の言葉を聞いた瞬間、私は走り出した。


「あ、ちょっと茜!」

理沙が呼び止める声は・・・・私には聞こえていなかった・・・。


夢中で走る中、目に入ったのはファミレスで仲良く話をしている、早苗さんと恵一先輩。

うそっ・・・なんで?

なんで、日向先輩を悲しませておいてそんな楽しそうにしていられるの?

悲しさが・・・心をつ包んで・・・今にも泣きそうな思いを必死で我慢した・・・悲しいのは私じゃない・・・日向先輩だから・・・。


駅について改札を抜けようとしたところで

「茜ちゃん!」

隆平さんに呼び止められた。

「・・・隆平・・・さん」

「どうしたの?」

今にも泣きそうな私の顔に心配そうに聞いてくれた。

「日向先輩が・・・振られたって・・・」

「え・・・・それって、理沙が言ったの?」

少し驚いた顔をしたけど

「はい・・・」

「・・・・うん、まぁ別れたのは本当」

何か考えてるように私に言った。

その時電車が入ってくるのが見えた。

「私、行きます」

「え?場所分かるの?」

「はい・・・多分」

「・・・そう・・日向のこと頼むね・・・」

「・・・力になれるか分からないけど・・・行ってみます」

私は笑顔で隆平さんに手を振った。

隆平さんも優しく微笑んで手を振り返してくれた。


電車に乗ると、後ろから理沙が走ってくるのが見えた。

・・・・あ・・・置いてきちゃったんだ・・・理沙・・・ごめん。



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