片思い?両思い?

雨やどり



あれから何故か晴れた日は、あの空き地で日向先輩と過ごすことが多くなっていた。

私はとても嬉しいのだけど・・・いいのかな?

こんなに仲良くなっちゃって。

それでも、日向先輩に会いたくて、晴れの日は必ず丘に向かっていた。

「おはようございます」

「おはよう」

「今日は早いんですね」

「ああ、新聞配達早く終わらせたから」

「そうですか」

いつものようにストレッチをして、たわいもない話をする。

なんの教科が好きか、とか。

どんな食べ物が好きか、とか。

好きなアーティスト、音楽、本・・・知れば知るほど日向先輩が好きになる。

私は自分でコントロールできないくらい好きになっていた。


このままじゃ・・・絶対まずい。

理沙が言ってたみたいに早苗さんから日向先輩を奪いたくなる。

これが理沙の言ってた「恋の欲」なのかな。


私は朝の出来事を理沙に言えないでいた。

なんとなく秘密にしたかった。

隆平さんからも何も言ってこないところをみると、日向先輩も言っていないんだろう。


・・・だけど私だけが好きで、日向先輩はただの話しやすい後輩としか思っていないんだろうな。

初めは側にいたい、その思いだけで同じ高校を受験した。

話が出来るようになって、遊びに行くようになって、今は2人きりで会って・・・。

好きの気持ちが大きくしないほうが、難しいよ。


「欲」って怖いものなんだって初めて知った。






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