片思い?両思い?


朝は降っていなかった雨が放課後ぽつぽつと降り出した。

「あ~、傘持ってきてないや」

私は掃除当番と日直だったから、理沙と隆平さんは先に帰って、駅で待ち合わせることにした。

ひどくならないうちに行かなくちゃ。

玄関で急いで靴を履き替えてから、小走りで駅に向かった。


うわ~ん。

雨がひどくなってきた。

遠くのほうで雷が鳴っているのが分かる。

早く・・・早く。


雨の振る中必死で走っていると、

グイッ

と、腕を掴まれた。


「茜ちゃん」

振り向くとそこにはやっぱり雨に濡れている日向先輩がいた。

「日向・・せん・・・」

「こっち」

確かめる声をさえぎって、私はある建物のところへ引っ張られた。


そこは、使われていない倉庫のような建物の中だった。

入った瞬間に土砂降りになる。

「うわっ、あぶね」

そう言って私のほうを振り返ると

「大丈夫だった?」

と、笑顔で聞いてくれた。

「あ、はい。ありがとうございます。大丈夫でした」

私も笑顔で答えると

「そう、良かった」

言いながら髪の毛を掻き揚げるしぐさが・・・なんて言うか。

・・・色っぽい・・・。


また心臓が・・・ドキドキし始めた。



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