合縁奇縁~女は欲張りな生き物なのです
あたしの不安などお構いなしに、夕方の面会時間になると、雅樹や樹、白石と森山、父と母が入れ替わり立ち代り面会にやって来ては、あたしと赤ん坊を熱のこもった目で見つめて帰っていった。

「裕子さん、もうこの子は二人だけのものじゃありませんから」

退院も明日と迫ったその日、面会に来ていた白石が意味不明なことを呟いた。

「どういう意味よ?」

「それは今にわかります」

「もう、気になるじゃない。勿体ぶってないで教えてよ。何を企んでる?」

「今はまだ言えません。でも、ご心配なく。裕子さんにとっても都合のいいことですから」

「あ、それから、木村課長は来年、男性初の育児休暇取得者になる予定ですよ」

と、森山がニヤケタ顔でしらっと言った。

「はぁ?」

「あれ、課長、まだ言ってませんでしたか?」

「おい、森山、それ今日決まったことだろ」

白石がちょっと焦った顔で森山を肘でつついた。

「あ、しまった! そうでした。裕子先輩、聞かなかったことにしてください。課長から聞いたら、驚いた振りしてくだいさいよ」

あたしはちょっと眉間に皺をよせる。

「あんたたち、なに企んでるの?」



嗚呼……もう……

これ以上、心配事を増やさないで欲しい……
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