合縁奇縁~女は欲張りな生き物なのです
その夜、面会時間ぎりぎりに、雅樹が病室に滑り込んできた。
「嗚呼、間に合った……」
「忙しいなら、無理しなくていいよ。どうせもうすぐ退院なんだから」
「そんなこと言うなよ。裕子に会いたくて、頑張ってきたのに」
雅樹はそう言って、息を弾ませながらも、あたしに近づくなり優しく頬にキスをした。
「ど、どうしたの?」
あたしは、ちょっと恥ずかしくなって、頬を押さえながら尋ねた。
「子供の名前、決めたから。早く教えたくってさ」
「で?」
「じゃぁ~ん!」
と、雅樹は誇らしげに、コピー用紙に大きく黒いマジックでしっかりと書かれた名前を掲げて見せた。
「裕樹(ユウキ)」
あたしはその名をそっと声に出してみた。
「裕子の『裕』と雅樹の『樹』。俺達の子って、一目瞭然だろ?」
「単純過ぎない?」
「何百と考えたうちの、最後のひとつなんだ。この子は俺達に勇気を与えてくれる、そんな意味も込めたつもり」
「ゆうき……綺麗な名前だね。きっとこの子も気に入るよ」
「嗚呼、間に合った……」
「忙しいなら、無理しなくていいよ。どうせもうすぐ退院なんだから」
「そんなこと言うなよ。裕子に会いたくて、頑張ってきたのに」
雅樹はそう言って、息を弾ませながらも、あたしに近づくなり優しく頬にキスをした。
「ど、どうしたの?」
あたしは、ちょっと恥ずかしくなって、頬を押さえながら尋ねた。
「子供の名前、決めたから。早く教えたくってさ」
「で?」
「じゃぁ~ん!」
と、雅樹は誇らしげに、コピー用紙に大きく黒いマジックでしっかりと書かれた名前を掲げて見せた。
「裕樹(ユウキ)」
あたしはその名をそっと声に出してみた。
「裕子の『裕』と雅樹の『樹』。俺達の子って、一目瞭然だろ?」
「単純過ぎない?」
「何百と考えたうちの、最後のひとつなんだ。この子は俺達に勇気を与えてくれる、そんな意味も込めたつもり」
「ゆうき……綺麗な名前だね。きっとこの子も気に入るよ」