ドライヴ~飴色の写真~
「まさか、小指の出番があるとはな」

 篠さんはそう呟きながら、右手の指を4本に増やして立てた。


「四つ目。オレは《探偵》だ」


 その篠さんの力強い言葉と瞳に、私はもう、何も言い返せなかった。


 そうだ。

 私は、こんなにこの人のことを信用していたんだった。

 それなのに、なんという愚問だったんだろう。

 
 ふ、と。
 私の中で《申し訳ない》という気持ちに加えて《なんでだろう》という疑問が湧いた。

 
 なんで。


「なんで、篠さんはそんな優しいんですか」
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