ドライヴ~飴色の写真~
 朝礼終了後、私は弥生と並んで教室を出た。

「てか和紗、あんたスッピンじゃん! 何、世の中なめてんの?」

「なめてねーよ。違うんだって。昨日の夜、YouTubeでオードリー巡りしてて、気付いたら3時でさ。それで寝坊しちゃったんだって」

「干物一直線じゃん。だから22年間彼氏出来ないんだよ」

 ガビーン。

 弥生に痛いところを突かれた私に、陳腐な擬音がとどめを刺した。


「和紗、和紗。春日よりももっと大切な物があるんだよ」

 ふと、背後から別の女性の声が聞こえた。
 柔かいこの声の持ち主を、想像しながら振り返る。

 そこにはやはり《里卯文乃(サトウフミノ)》がいた。

 今日も可愛らしいふわふわした笑顔だが、先程、妙に考えさせられる言葉をかけられたような気がする。
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