天使降臨 (『小説・堕天使無頼』改題)
サキは


顔と手以外は黒い羽毛に覆われ、俺から逃れると膝をついて泣き崩れた。


部屋中の壁が淡い金色を放ち、


壁は楕円を描いている。


「今、この繭の中は安全です。わたしの白い翼の羽毛で紡いだものですから」


なんだって? 夢?


「あなた様を愛しいと思うがゆえ、私はこれを使う日もあろうかと。翼を自ら折り裂きました」



「サキ、泣くなよ。こっちへ来るんだ。夢でもどんな姿でも、気にするな」


サキはかぶりを降った。



「私に触れてはいけません! 」


バサリ!


サキが苦悶の表情を浮かべ叫ばず身をよじらせる。


「おい! どうした!」


「近寄ってはいけません!」


血飛沫とともに。



大きな黒い翼が

その華奢な背から


姿を現した。


「あなた様を狩るなんて、できない!」
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