天使降臨 (『小説・堕天使無頼』改題)

俺を……『狩る』?

どういう事だ?


「天で……私はあなた様が天使たちの軍隊のやり方に異を唱えるのを見て、そのお姿に心を奪われました」


「天使たち?」



「お忘れなのは仕方ありません。あなた様は罰を受けた堕天使ではなく、みずから人間として生きる事を選ばれました」

「な、ならサキだって自分から人間の女として生きる事を選んだんだ。堕天使じゃない。ずっと、ずっと一緒にいればいい」



「『力』も階級も違いすぎるのです。私は御使い(みつかい)として働く下級天使。翼を折り地上に寒さに震えながらあなた様を探し続け、やっと……」


「もし。俺が本当に天使だったとしてだ、天使の国でサキを見つけられなかったなんてありえないよ!」


「天にあっては余計無理でしょう。身分の高いあなた様に私の光は見えない。あなた様が人間の地に降り、その賢さで生きる間。私は何百年と旅をしました。ですが天は見逃さず時間を歪め一年の歳月しか与えなかったのです」


「でも俺たちはその一年で出逢った!」


「私も必死で隠れ時間と地上を逃れてきました。ですが、見つかり、天は私に罰を与えるために、運命の糸を垂らしたのです」


「それは違う! 俺がお前に逢いたかったんだ!」


俺は……。
今、なんて?

サキを


知っていたのか?

知って自分の道を選んで


彼女をこんな目に?


「私は堕天使にされあなた様を狩る命を受けています。愛しさが募れば変化するこの醜い姿を早く忘れて、お逃げ下さい! もしくは殺して!

叡智の天使・ケルビム様!」
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