グレーな吐息~せぴあなタメ息③~
「じゃ、仕方ないね。

女の子な姿は、また別のときの楽しみにとっておこう」

さらりと、言う。


あたしはすごくドキドキすることを、

何で、こんな簡単に言っちゃうかな。



「じゃ車まで、一緒に入ってく?」

「え、車」

「オレは機材の一部と類も運ぶ役目だからね。

駐車場は確保しておいてくれてる」

・・・冴島さんの車に乗れるのか。


ばっと、冴島が傘を広げた。

しっかりと大きなかさ。

けれど、二人で入るのに、充分な大きさが、あるわけがない。

ええと。

「ほら、入りなさい」

冴島に、肩を捕まって、引き寄せられる。

そりゃ、そうしないと雨に濡れるから。

あたしは、凍り付いてしまった。

でも、過剰に反応してしまっている、あたしの方が悪いのだ。

冴島の手が解かれると、ついつい、離れよう離れようとしてしまう。

「取って食ったりしないから。そんなに嫌わないで」

言われてしまう。

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