グレーな吐息~せぴあなタメ息③~
「高校生の潔癖さ、かな。

おじさんだけど、我慢して。

雨に濡れるよりましだと思って」

冴島は苦笑した。

「そっ、そんな。ごめんなさいっ」

あたしは、ぐいっと、傘の中に入った。

冴島の身体がすぐそばにある。

「そうそう。せっかく雨の中に走り出す前に見つけたのに。

濡れさせてしまったら意味がない」

肩を捕まえられてしまう。

あたしは一瞬、目を閉じて、平常心を作り出す。

これが普通、これが普通。

傘の外は豪雨なんだから。


「・・・あの、我慢して」

「いえ、別に嫌がってるわけでは」

慌てて否定する。

嫌がってないことも証明したくて、

傘を持ってる冴島の腕に、つかまってみる。

冴島は、真っ直ぐ、行く先を見たままだ。



ほら、気にしてないじゃん。



しっかりその腕につかまりなおして、ぴったりと寄り添った。

この方が、全然自然だ。

ただ、あたしの心拍数は尋常じゃないけど。

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