姫密桜
「ごめんなさい」

私は駆ける、槇の元に。

一秒でも早く、一秒でも長く
今日だけは、槇の傍に居たい

閉まるドアの音に、家族の
心は締め付けられる。

新聞を握り締めて、その場に
立ち尽くす父の姿を見つめる
母。

リビングのソファーで珈琲を
飲む、櫂。

「サクラ、おまえ
 やっぱり・・・」

家の最寄駅から、二駅過ぎた
駅のプラットホームで桜の訪れ
を待つのは、槇。

真実を知った、お前が告げる
だろう言葉を、俺は予測できる
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