姫密桜

愛した人

眠る槇の頬に口づけを。

「これで、本当に
 よかったの?

 サクラ?」

深い夜は、明ける・・・

わたしの体に刻まれた
あなたの愛

わたしは、一人でも
生きていける。

清々しい朝の街を、肩を並べて
二人は歩く。

「お金
 無くなっちゃったね?」

「ああ、電車代が残ってて
 よかった
 
 無事に帰って来れた」

遠くに、家が見える。

帰りたいけど

帰りたくない

その場所に辿り着く。
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