花鎖

・Rabbit's red eyes.



白い兎が城の庭で跳ねていた。
ふわふわとした白い毛に、血管が見えるくらい透き通った赤い目。いつも愛らしく跳ねていた。
・・・・・・1匹で。

「お兄様、兎がいるんです!」
「・・・ああ、兎、ね・・・」
「はい!とても可愛らしいんです!」

青年が優雅にお茶をしていると、そこに走って来たのか、息を切らした少女が現れる。そして、にこにこと、いつも以上に、にこにこと笑う少女は一気に話し始める。
青年は、意味深に言葉を呟くと、少女の顔を見ず紅茶を飲む。それから、ふと少女に視線をやり、ふわりと優しい笑みを向けながら、「レナのほうが可愛いよ」と軽く口説く。

「お、お兄様・・・っ?」
「ふふ・・・。レナは可愛いね、そんなに顔を赤くして」

少女の頬に手を添えて、それをするりと滑らせ顎をくいっと上げる。

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