レイコーン
「この人形、真剣持ってるけど反撃されない?」

人形の持つ剣がギラリと光る。

「される。」

「え~?やだよそんなの怖いもん。」
 
「大丈夫だと思うけど?マール、剣を扱えるの?」
 
「全然。」

 

「じゃあ大丈夫だよ。初心者には反撃しないはずだから。」


マールが人形のボタンを押そうとすると、訓練室の扉が開き甲冑姿の衛兵が入ってきた。


「あれ?まだいたのかキミら兵士志願者だろ?他の受験者は闘技場の方へ行ったよ。」


「闘技場?」
 
マールは衛兵に聞いた。

「一階の奥にある大規模な訓練施設だよ。行けば分かるさ。」

「おい、マール行くぞ!」

二人は一目散に部屋を飛び出した。城の奥の回路を走る。走る。
 

「わぁ・・・」

 
回廊を抜けた先は闘技場とつながっていた。

 
 
闘技場は円形の美しい舞台を中心に
誰もが見渡せるようつくられている。
観客に被害が及ばないように壁を挟んで観客用の席と舞台とが完全に分けられておりエンターテイメントとして活躍していることが伺えた。

客席と舞台を区切る壁には大理石でつくられた円柱が埋め込んであり青い鳥を模した装飾が施してあった。

何よりもマールを驚かせたのは

 
「空に水辺が浮いている・・・。」

 
と言うことだった。
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