レイコーン
「帰り道も聞かないといけないな・・・。あそこ、人いるのかな?」
この一帯からどう帰れば良いのか
マールはわからなかった。
家に帰るのに、本当なら誰の力も借りたくない。
マールの本心だ。
でも、広大な景色がマールの気持ちを助け
この世界でなら素直になれる気がして、
屋敷に行く決意をするまでにそんなに時間はかからなかった。
道のりは目測20分。
石はとても踏み心地がよく、歩くたびに
ザッ・・・ザッ・・・と、音を立てた。
「それにしても綺麗だな」
月がマールの行く道をやさしく照らし
誰よりも傍らで見守っていてくれる母親のような
安らかさをマールに与える。
そんな勇気が彼の背を押す。
上向きに前を見て歩けば少し見える世界は変わり
青く輝くあまりにも見事な景色と
ひんやりとした癒しの風がマールを歓迎しているようで
マールはだんだんうれしくなってきた。
空の光と
草原の反射光が
マールを青白く光らせている。
「手が青い」
マールは自分の手を交互させ全身を見た。
初めて遊園地に行った子どものようにマールは、はしゃいだ。