レイコーン

老人は語る。

 

「すまんかったね、屋敷のツタは、常に眠りの粉を出してるのじゃよ。」

 

「・・・はぁ・・・。」

 

マールは置物だとばかり思い込んでいた老人に
面食らっていて返事らしい返事ができない。
大体、眠りの粉って何だ?

 

「あぁ、自己紹介がまだじゃったな。わしはこの館の主人で、魔法の世界カルディアの研究している者じゃ。ドクと呼んでおくれ。ニコスはマスターと呼ぶがね。」

 

「はぁ・・・あなたがマスター?」

 

ドク=博士・・・か。
この人が人食いなのだろうか?

ともそうは見えない。

主食はカリカリのパンって感じだ。

 

「あの・・・、僕を食べるんですか?」

 

いきなり疑問の核心に触れるマール。
老人は豆鉄砲でもくらったかのような顔をした後、しばらくして笑った。

 

「ハッハッハ、あのいたずら猫から聞いたのかな?」


(・・・いたずら猫?)
マールは、ぼそっとつぶやく。
< 40 / 126 >

この作品をシェア

pagetop