レイコーン
それに、あの猫、
はじめて会ったときは尾が二本もなかったはずだ。

 

ドクの靴の音がカツン、カツン、と廊下に響き渡る。

 

「気になるかね?」

 

マールの視線に気がついたのかドクが口を開いて説明しだした。

 

「彼はね、猫又と呼ばれる魔法世界の猫で、10年以上生き続けると、変身ができるようになれるんじゃ。」

 

「変身?」

 

「魔法が使えるってことじゃよ。二本目の尾が魔力の源でな、年を食うごとに増えていくのじゃ。他にもいろんなものに変身できるそうじゃが、普段は人間や猫の姿の時の方が多いかのう。」

 

続けて、ドクは、マールの顔を見て笑いながら言う。

 

「ニコスはもう10歳じゃから、人間に変身できるようになると、うれしさから、よく遊びに行っていたんじゃよ。ニコスのクラスなんてどこにもなかったじゃろ?この子は浮かれて、キミ達の学校にまぎれて噂を流したりもしてたようじゃな。」

 

確かに、そう言われればそうかもしれないと、マールは思った。
ニコスとは休み時間中、話したりはするけど、授業中の姿を見たことはない。

 

「じゃあ、ニコスに友達は・・・?」

 

「人間の友達じゃと、マール君だけじゃないのかのう。」

 
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