レイコーン
宮殿へと向かいながら2人は干し肉をかじる。
「イイ匂いするけど、本場よりもまずいんでしょ?」
「かもね。そうそう、マール、この街じゃ、まずいだの、いらなだのは禁句なんだぜ?」
「どうして?商売の妨げ?」
「それもあるだろうけど、この国は元々いろんな異文化を認め合い共存する事で成立した国なんだ。食べ物には好みってのはあるから、全否定しちゃうのはあんまりよくいないことなんだ。意外とデリケートだろ?」
干し肉はあっという間になくなった。
「欲しくない時はなんて言えばいいのさ?」
「『私の体には合いません』って言えばいいんだよ。流石に、体のことまでは誰も文句言わないからね。」
「なるべく努力するよ。」
「おう。」
ふと、ニコスの足が止まった。
「なぁ、マール。俺さ、マスターにもらうはずだったものを貰いに行って来るから宮殿前で待ち合わせしよう。ひとりで、いろんなところ見て見たいだろ?」
「そうだね。」
「マール、ここは港もあって人が多いから。」
「多いから?」
「迷子になるなよ!」
ニコスは、マールの返事と聞くと道を戻るようにどこかへ去っていってしまった。
「どうしたんだろ?ニコス。」
ニコスの様子が変だった。いつものようなふざけた雰囲気のほかに真剣なまなざしが隠れていた。
本当は、一緒に回りたかったのだけど、
試験を後に控えているニコスはひとりになりたかったのだろうと納得し、
マールひとりで出歩くことにした。
「リリー、一緒に探検しようか?」