レイコーン
衛兵と話している途中
街の方から城の方へ向かっている人影が見えた。マールだ。
「マール!こっち、こっち。」
マールは山の様に炭のような味のする『黒焼きタマゴ』をもって
ニコスの前に現れた。その目は気のせいか潤んでいる。
「ニコスぅ。」
階段の下からニコスを見上げるマールはひどく幼く見えた。
マールの方からは焦げた香ばしい臭いがしてくる。
「マール、その荷物は何?無駄遣いするなって言ったじゃないか!しかも黒焼きタマゴばかり!」
マールは申し訳なさそうにニコスの顔を見つめ、つぶやいた。
「…おいしかったんだよ。」
口はすごく曲がっている。
「はぁ。まぁ、いいよ。で?その抱えているでっかいタマゴは?」
「…サービスだってさ。」
「そ?でも、その黒焼きタマゴは今日中には食べられそうもないからそこにいる衛兵さんたちにあげようよ。献上品何も用意していなかったからちょうど良かったよ。」
「献上品?」
「王に会うための入場料みたいなもんだよ。タマゴは…ダメだな。それは持っててくれな。」
「お金じゃないんだ?」
「うん。入城に採れた作物や料理を送るのがこの地方の風習なんだ。」
「へ~?リリー、記録した?」
マールの頭の上に漂う蝶はピンク色に輝き上下している。
うなずくようにマールの周囲を上下に飛びまわる明るいピンク色に輝いた。