レイコーン
「・・・ニコス・・・?」
 
 
その様子を見てマールは帽子を置こうとすると、
 
 
「ふぁぁぁ?おかしいのう?なんで封印が解けたんじゃ?」
 
 
急に声がして二人はぎょっとして声のするほうに注目した。
帽子だ。帽子がしゃべった。あまりの光景にニコスは声が出ない。
 
 
「…す、すごいや!!ニコス!これも魔法?」
 
 
マールは、ただただ帽子を振りまわしている。
 
 
「アダダダダダ!何するんじゃ!この小童が!!」
 
 
「…小童って生まれたての帽子に言われてもなぁ。」
 
 
ニコスがぼそっと呟く。
 
 
「こりゃ!小僧!何を言うておる。わしはこれでも210歳のスンバらしい帽子じゃ!」
 
 
「なんだ、中古品じゃん」
 
 
「口を慎め!猫の小僧が!年寄りをいたわるという言葉を知らんのか!」
 
 
そんな帽子とニコスの様子をマールは笑って見つめていた。
 
 
「なんだよ。マール。」
 
 
「うん?ニコスってこんな風に騒ぐんだなって思ってね。最近、なんだか大人びていて触れにくいからさ。」
 
 
そう言われたニコスは、少し考え込むと
 
 
「ごめんな、マール。俺、緊張してるんだ。」
 
 
と、言った。
 

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