レイコーン
闇に覆われた空間でマールが帽子に尋ねた。
 
 
「食われた…?」
 
 
暗闇の中で目を開けたマールは帽子に訪ねる。
 

「ここは契約の間じゃ。見たところ、お主は旅人じゃろ?魔術を使ってみたいとは思わんか?」
 
 
「僕でも魔法が使えるようになるってこと?」
 
 
「そうじゃ、人間が魔術を使うためにはその力を貸し与える者と約束を交わさねばならん。見たところお主とそのユビキスはまだ、契約をしておらぬようじゃからわしが仲人をしてやる。」
 
 
契約。契約すれば、魔術が使える?
 
 
「それでお主はその妖精族の魔術を使うことができるはずじゃ。」
 
 
「契約ってことは何か対価が必要なんじゃないの?」
 
 
「それは、そのユビキスに聞くんじゃな」
 
 
リリーは、マールの周囲を飛び何かを言っている。マールはリリーの言葉に耳を傾けた。
 
 
「リリー?キミは僕に何を望む?どうすれば、僕に魔術を使く資格を与えてくれる?」
 
 
リリーは答える。
 
 
「私に食事と友人をください。」
 
 
マールは笑った。
 
 
「・・・もちろん!」
 
 
 
「ほっほっほ。契約成立じゃな」
 
 
マールとリリーの間に光が漂う。
その輝きは黒く包んだ世界を明るく照らし契約の間を晴らしてゆく。
  
 
契約の間から出たマールは丘から城の方を見ていた。
小さな裏町の様子は見えるが
にぎわう商店街の方は城に隠れ見えにくい。



「マール、大丈夫か?」 



「ふ~~~!」

 
 
マールは駆け寄ってきたニコスに返事をするとにっこりと笑った。
 


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