カレシ

「そや、ゆいちゃん、こんなこと聞くのもあれやけどさ」

「うん?」

「俺んこと、知ってた?」

「えっと…」

知ってた!なんて言うの恥ずかしい!しかもずっとチラチラ見てるくらいだし…

「知るわけないよなー」

先輩がへこんでいるような声を出した。

「こんなこと言うたら恥ずかしいけどな、俺ゆいちゃんのこともう1ヶ月くらい前から知っててんで」

え…


先輩は恥ずかしそうに頭をかくと、えぇい!もう言うてしまえ!と話をはじめた。


「ゆいちゃんのことはじめて見たのは4月の頭やなー、講義一緒のやつあるやん?えらい髪色明るい子やなと思てチラって見たんやんか、まあもうめっちゃタイプやん!思て焦ったわ」

かぁ~と顔が熱くなる。
本気なのかからかってるのかわからない。

「ほんでなぁ、仲良うなりたいなーとはずっと思っててんけどなかなか勇気出んくて。何回も今日こそ話しかけよう思っててんで」

「講義終わってから後ろ着いて行って話しかけようとした時はな、着いて行ったらバス停に行くもんやから、人目多すぎてリタイアしてしもたわ(笑)」

ダッサーと先輩はカラカラ笑う。

「こないだみたいに紙キレにアドレス書くんも、何回も失敗してるんよ、失敗した後は虚しいで~!こんなもんってゆーて紙キレに当たってビリビリに破ったんねん」

「あははっ」

先輩が身振りも加えて必死に説明するので、なんだかおかしくなってきた。

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