TO-KO

急にシオンは眉を寄せて、トーコに顔を近づけた。瞳子もその急な行動にはついて行けず、目を点にした。


「…やっぱり、顔色悪いですよ?体調悪いんじゃ…?」


そっと瞳子の頬に手を翳す。
その動作はさも自然な流れのように行われた。
瞳子はくすぐったくて、ピクッと肩を震わす。

「っ…、いえ、本当に何も…。あのっ、それより…この…」


「へっ!?あ、ああああ!!ご、ごめん!!いや、俺何やってんだろ、はははっ!!」


手をと言おうとしたが、その前にシオンが慌てて離してしまった。ブンブンと手を顔の前で振りまくっている。
なんというか、挙動不審。


「あの、全然、大丈夫ですけど。ただ…、驚いてしまって…」


瞳子がぼそっとそう言うと、シオンはパタリと動くのを止めた。
しかし、気まずい。




「…………」


「…………」


沈黙。二人とも俯いて沈黙。
どうしたらいいのか、
どうすればいいのか。



「二人して、顔赤くして何やってんの?朝っぱらから」
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