TO-KO
自分の頭上に聳える空はどこの世界も変わることもなく、壮大で蒼い。
どうして、こんなにも蒼いのだろう。洗濯物を干しながら見上げる空は、悲しくなるくらい偉大だ。瞳子は、シャツを手に持ちながらただ流れ行く雲をただ見つめた。
流されて流されて此処にいる。自分は、ただ拾ってくれたアルフレッドの為に此処にいる。
それでいいのか、と何度となく自身に問いかけたが答えが出なかったのだ。
すると、急に瞳子の後ろから腰に手が伸びてきて、瞳子を捕らえた。
「…へっ?きゃっ!」
「ただいま。トーコ。抱き心地、良い…」
ぎゅっと自身の腰に後ろから何かが抱き付いたのだ。前から見える小さな手からは想像できないほどの力だ。さらに、いきなりだったために瞳子は、少々前に傾いてしまったが踏ん張った。
そして、後ろを見にくいながらも振り返り、下を見る。だが、この位置で抱きつけるの人物は瞳子は一人しか知らないため、予想はついていた。
「びっくりしました…。お帰りなさい、シン君」
「うん。今日、僕、頑張った」
抱きついていた手を離し、瞳子の前に回り込んでニコッと笑ったのは独特の言葉遣いの少年。
瞳子よりは、色素が薄めの黒髪に茶色のクリクリとした瞳。
彼は笑顔がまぶしい、この屋敷の庭師見習いだ。住み込みで庭師になるために頑張っている。
「そうですか。それは良かったですね」
「うん…。早くトーコに、会いたかった。だから、一生懸命、早く帰って、きた」
「まぁ、私(わたくし)にですか?ありがとうございます」
フフッと笑いかけると、シンもまたそれはもう嬉しそうに笑った。