アイ・マイ上司とlove★battle
たとえおバカな私でもね、この香りだけはインプットされちゃったの。
「は、なして・・・」
まるで拒絶反応を示すように、ローズの匂いを遠ざけようとするのに。
「なんで?」
「はっ、なしてよ…!」
何度グイグイ押してもビクともしない状況に、苛つきだけが増していく。
「何に怒っているのか分かんない」
「はぁ…!?ひ、どいよっ…!」
自分の事は棚に上げて、私の態度に首を捻るかのような彼の発言に傷ついてしまう。
「鈴ちゃん、だから…」
「お、怒らせたのは…っ、誰よ…!」
さっきの幸せな気持ちは何処へやら…、今流れる涙は苦しいだけのモノだ。
居酒屋から見てしまった、2人の姿がフラッシュバックして涙が止まらない。
だって…輝から笹森さんの香りが届く度に、もう辛くて仕方ないのに…。
こんなにも香りがついちゃうくらい、2人が密着していた証拠を見せたかったの…?
感情任せに彼の胸をバンバン叩いていれば、ようやくスッと優しく引き離された。