アイ・マイ上司とlove★battle
少し離れていただけなのに、ヤケにドキドキするオリエンタルな香りが鼻を擽って。
仕事モードを外した表情だって、いつでも簡単に私の心をさらってしまうもの。
私を抱えながらスタスタと歩くから、もう下ろしてとは言えないよ・・・
「っ、待ちなさいよ…!」
するともの凄い形相の笹森さんが、そんな私を捉えて忌々しそうに睨んでいたから。
「――何?」
「アレじゃ納得いかないわ!私のドコが…」
鬱陶しげに溜め息をつく彼は、すっかり課長としての顔を取り去っているようだ。
「大切な子を侮辱されて、黙っていられるほど俺は大人じゃないし?
鈴がひとりで傷ついていた分は、プライドを傷つけさせて貰っただけ。
まだまだ“俺のリペア”が必要だし、邪魔しないで貰える?」
「な…っ、バッカみたい!」
「あ、あの…笹森さん」
ハッ…と、吐き捨てるように言った彼女の目は、明らかに輝を侮蔑していたから。
「何?アンタも…」
「ずっと私…笹森さんに敵うトコロは、ひとつも無いと思ってました。
美人で仕事も出来て、私には何ひとつ無いモノばかりで羨ましいとも思ってたけど。
でも…やっぱりひとつだけありました――輝を思う気持ちは負けませんから。
どんなに不釣り合いでも大好きなんです…、だから絶対にこの場所は譲れません!」
確かにツライけど…、私については何を言われても仕方の無い事だから諦めてる。