アイ・マイ上司とlove★battle
ソレでも輝は譲れないから、その想いの分だけギュッと彼に強くしがみつけば。
「それじゃあ、俺たちも失礼します」
そんな態度をクスッと笑って、再度私を抱え直した輝がようやく歩き始めると。
今まで成り行きを見守っていた涼子と社長が、兄妹らしく同時に溜め息をついた。
「…肝心な話だけど。不正出金の件は片付いたの?」
「勿論――該当者1名は、自然豊かな宮崎支社へ出向だ。
今回ばかりは稲葉と涼子が早い時点で気づいてくれたし、せめてもの温情かな」
「まったく…、妙に優しいんだから!」
その社員の処遇に納得出来ないのか、ムッと表情をしかめている涼子を捉えた私。
「それに親父も…キャバ通いが好きじゃなくて、千香さんに惚れこんで通っただけだ。
ブティック始めたオマエのお袋さんと離婚してから、ずっと落ち込んでたよ…。
千香さん確かに派手だけどさ…、涼子だって人柄の良さは分かってるんだろ?
独りで六本木に店出して、悠々自適に暮らしてたんだ。金目当てなんかじゃない。
まぁ、俺はこれからも、独り身生活を楽しむつもりだけどな…――」
そんな彼女の性格を分かっているのは、やっぱりお兄さんなのだと思わされて。
「…最近、…お父さんに似て来たよね…」
「――離婚してから初めて聞いた。
直接、お父さんって呼んでやれよ。喜んで大泣きするぞ?」
「そ、それはイヤよ。あんな女好き、知らないわよ…!」
自分の働く会社なのによく知らなかったけど、社長は家族思いで器の大きい人だね?
そんな2人をクスクス笑っていれば、目が合った輝もまたフッと笑っていた…。