ガラス細工の花と機械仕掛けの白の翼
脳みそが、いま現在起きた現実を呑み込めず、混乱している。
現実では有り得ない出来事が眼の前で繰り広げられたのだ。
頭の整理を付けるために大きく深呼吸をして、前を睨んだ。
そして、塔の扉へ歩いてゆく。
まぶれる様に咲いた銀色の花を踏み潰す度に、砕け、しゃりしゃりとなじるような音。
花を一本折り、南京錠の鍵穴に差し込んだ。
カチャカチャ。と音を響かせていると、いとも簡単に鍵は開いた。
驚きを隠せないまま、銀色の花を引き抜くと、その先端は南京錠の鍵穴に合った鍵の形に変化していた。
訳が解らなかったが、今はともかく少女を助けてやりたかった。
その一心で南京錠を外し、鎖を外した。