ガラス細工の花と機械仕掛けの白の翼
恐る恐るドアノブに手を伸ばす。
錆びたドアノブはじゃりっとした嫌な感触がした。ゆっくりと右に回すと、鍵は掛かって居らず
カチャ…
扉は開いた。
扉をぐっと中に押すと、ぶわっと白い光が彼を襲った。
突然の光はまぶしく、景色は霞がかかったよう。
彼は目を細めた。
「―――…」
そこは四角い木製の部屋だった。
小さな窓はガラス張りで、木製の仕切りで四つに分かれている。
切り取られた青い空。
絵画のような驚くほどに美しく青い空と、白く大きな立体的な雲。
そこは塔から隔離されているかのような部屋だった。
銀色の花も鋼色の蔦も生えておらず、四角い青空は邪悪な暗闇を寄せ付けないような、凛としたきらめきを秘めていた。
窓の前を金色の髪が、ふわり揺れる。
紅い血に染まった背中はその窓から光の洪水のような空を眺めていた。
ゆっくりと振り返るその顔は、さきほどの少女だ。
「翼を…」