キミの心の声を聞かせて

そうか?と心配そうな瞳で見つめる雄大。

「行こうか」と、さり気なくあたしの手を優しく握った。


トクン…と波打つ鼓動を感じながら雄大の顔を見ると


「たまには、なっ…」


雄大が、少し照れながらギュッと握りしめた。


「あ、うん…」とコクンと頷き繋がれた手のぬくもりにドキドキしながら


8月下旬のまだ熱い太陽の光を浴びて向かった場所は恋人達や家族連れで賑わうショッピングモールの中にあるシネコン。


雄大が、「映画でも観に行こうか?」と連れてきてくれた。


男の子と2人きりで映画を観るなんて経験は初めてで、なんだかバクバクと緊張してきた。


「なに観ようか?智樺はどんな映画が好き?」

「あたし?あたしは…楽しいものや、ドキドキやワクワクするもので…ホラー以外だったらなんでもいいよ」



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